「SESはやめとけと言われるけど、本当にそんなに悪いの?」
「SESでも開発経験を積んで年収を上げられる?」
「案件が終わったら、その後はどうなる?」
SESへの転職を考えている人や、現在SESで働いている人の中には、このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
私自身、未経験からSES企業へ転職しました。
約6ヶ月のJava研修・サブ講師養成研修、3ヶ月のサブ講師を経て、公共系Webシステムで約7ヶ月の開発と約1年間の保守・運用を経験。その後、別のSES企業へ転職し、現在もITエンジニアとして働いています。
実際に2社を経験して感じた結論は、「SESだから良い・悪い」ではなく、所属企業や案件、そこで何を経験できるかが重要ということです。
この記事では、SES企業2社で実際に働いて感じたメリット3つ・デメリット4つと、低年収から抜け出すために意識していることを紹介します。
SESへの転職や、このままSESで働き続けるか迷っている方の判断材料になれば幸いです。
私の結論は「SESだからやめた方がいい」ではありません。ただし、会社や案件にキャリアを任せきりにすると、希望する経験や年収につながらない可能性があると感じています。
SES企業2社で働いた結論|良し悪しは会社と案件で変わる

SES企業2社で働いて感じたのは、同じSESでも経験できる仕事内容や働き方は大きく変わるということです。
私は未経験でSESへ転職してから、研修、研修サポート、Webシステム開発、保守・運用、テスト、不具合調査などを経験してきました。
最初から希望していた仕事だけを担当できたわけではありません。
一方で、それぞれの経験が次の仕事につながったのも事実です。
未経験からSESへ転職した理由
私がSESを選んだ一番の理由は、プログラマとして実務経験を積みたかったからです。
前職ではITに関連する業務を経験していましたが、Javaなどを使ったWebシステム開発の経験はありませんでした。
当時の年収は約380万円。
SESへ転職すれば収入が下がることは分かっていましたが、一時的な年収よりもエンジニアとしての経験を優先しました。
実際の年収推移は次の通りです。
| 時期 | 年収 |
|---|---|
| 前職 | 約380万円 |
| SES転職後の最初の1年間 | 約240万円 |
| その後 | 約326万円 |
| 別のSES企業へ転職後 | 約422万円見込み |
「約380万円から約326万円へ下がった」という単純な推移ではありません。
未経験転職後の最初の1年間は、約240万円まで年収が下がりました。
それでも転職したのは、Javaを使った開発経験を積み、長期的にエンジニアとして収入を上げたいと考えていたからです。
研修から開発・保守運用まで経験した
未経験からSESへ転職したものの、すぐ開発案件に入れたわけではありませんでした。
私が経験した流れを簡単に整理すると、次の通りです。
| 段階 | 経験した内容 |
|---|---|
| 研修 | Java研修・サブ講師養成研修:約6ヶ月 |
| 研修サポート | Java研修のサブ講師:約3ヶ月 |
| 開発 | 公共系Webシステム:約7ヶ月 |
| 保守・運用 | 公共系Webシステム:約1年 |
| 転職後 | 別領域の業務系システムを経験 |
最初の約6ヶ月は研修期間でした。
その後、約3ヶ月のサブ講師を担当してから、Webシステムの開発案件へ参画しています。
開発ではJavaやSpring Boot、TypeScript、Vue.js、SQLなどを使い、機能改修やテストを経験。
その後は同じシステムの保守・運用に携わり、データ移行や不具合調査など開発以外の仕事も担当しました。
別のSES企業へ転職してからも、業務系システムの改修やテスト、不具合調査などを経験しています。
SESだからではなく「何を経験できるか」が重要
私自身は、SESで働いたことでさまざまな経験を積めました。
ただし、「SESへ入れば開発経験を積める」とは考えていません。
私自身も開発をしたくて転職したものの、実際に開発案件へ入るまでには研修やサブ講師を経験しています。
そのため、SESへの転職を考えるなら、
- どのような案件があるのか
- 希望する技術を使えるのか
- 開発・テスト・保守など、どの工程を経験できるのか
- 案件を変更する仕組みがあるのか
- 希望するキャリアについて相談できるのか
といった点を確認することが重要だと感じています。
なお、本記事では「SES」を法的な契約区分として説明していません。
厚生労働省によると、労働者派遣事業と請負では、雇用主や派遣先、注文主などが負うべき責任が異なります。また、どちらに該当するかは契約形式ではなく、実態に即して判断されます。
出典:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」
この記事では、あくまで私がSES企業で働いた実体験をもとに紹介していきます。
SESで働いて感じた3つのメリット

私がSES企業2社で働いて感じたメリットは、次の3つです。
- 開発だけでなく複数の工程を経験できた
- 案件によって異なる技術や業務を経験できた
- 未経験からWebシステム開発の実務経験を積めた
順番に紹介します。
①開発だけでなく複数の工程を経験できた
1つ目は、開発だけでなく複数の工程を経験できたことです。
これまでに、
- Webシステムの開発・改修
- 単体テスト
- 結合テスト
- システムテスト
- 保守・運用
- データ移行
- 不具合調査
などを担当してきました。
エンジニアへ転職した当初は「プログラムを書けるようになりたい」という気持ちが強く、開発経験ばかりを重視していました。
しかし、実際に働くとテストや保守・運用、不具合調査から学べることもあります。
既存のソースコードや仕様書を確認して影響範囲を調べたり、不具合の原因を切り分けたりする経験は、開発だけでは身につかなかった部分でした。
私にとって、システム開発の一部分だけではなく、その後のテストや保守まで経験できたことはプラスだったと感じています。
②案件によって異なる技術や業務を経験できた
2つ目は、案件が変わることで使用する技術や業務も変わったことです。
これまで業務では、
- Java
- Spring Boot
- TypeScript
- JavaScript
- Vue.js
- SQL
などに触れてきました。
同じJavaを使う仕事でも、Webシステムの機能改修と既存システムの保守では、求められる知識が異なります。
開発案件では実装やテストを経験し、保守・運用ではデータやログを確認しながら問題を調査する仕事も担当しました。
案件が変わるたびに新しい環境へ慣れる大変さはあります。
一方、異なるシステムや工程を経験できることは、経験の幅を広げるという意味ではメリットでした。
③未経験からWebシステム開発の実務経験を積めた
3つ目は、私にとってSESへの転職が、未経験からWebシステム開発の実務経験を積む入口になったことです。
前職ではITに関連する仕事をしていたものの、Javaを使ったWebシステム開発の実務経験はありませんでした。
エンジニアとして転職するなら、まずは実務経験を作りたいと考えてSES企業へ転職しました。
もちろん、入社してすぐ開発を担当できたわけではありません。
約3ヶ月のJava研修、約3ヶ月のサブ講師養成研修、さらに約3ヶ月のサブ講師を経験してから、公共系Webシステムの開発案件へ参画しています。
開発案件では、
- Java・Spring Bootを使った機能改修
- TypeScript・Vue.jsを使った画面側の改修
- API連携処理の実装
- バッチ処理の追加
- DB関連の修正
- 単体テスト・結合テスト
- 不具合調査
などを経験しました。
その後は同じシステムの保守・運用も担当し、開発だけではなくデータ移行や運用支援まで経験しています。
未経験だった私にとって、こうした経験をスキルシートに記載できるようになったことは、その後のキャリアを考えるうえで大きな変化でした。
実際に別のSES企業へ転職する際にも、「研修を受けた」だけではなく、Webシステムの開発・保守を実務で経験してきたエンジニアとして、自分の経験を説明できるようになりました。
これは、未経験からSESへ転職した私が実際に感じている大きなメリットです。
ただし、SES企業へ入れば誰でも開発案件を経験できるわけではありません。
私自身も開発案件へ参画するまでに時間がかかっています。
そのため未経験からSES企業を選ぶ場合は、「研修制度があるか」だけで判断するのではなく、研修後にどのような案件へ参画できる可能性があるのかまで確認することが重要だと感じています。
SESで働いて感じた4つのデメリット

メリットがある一方で、実際に働かなければ分からなかったデメリットもありました。
私が特に感じたのは次の4つです。
- 経験を積んでも給料に直結するとは限らない
- やりたい仕事をすぐ経験できるとは限らない
- 案件が変わるたびに環境へ適応する必要がある
- 案件終了後の待機は精神的に不安だった
①経験を積んでも給料に直結するとは限らない
私がSESで特に感じたのが、仕事で経験を積むことと、給料が上がることは必ずしも同じではないという点です。
前職では年収約380万円でした。
未経験からSESへ転職した後、最初の1年間の年収は約240万円まで下がっています。
その後は約326万円まで上がりましたが、それでも以前の年収には届きませんでした。
その間にもJava研修やサブ講師、Webシステムの開発、保守・運用など、経験自体は増えています。
この経験から感じたのが、
現場で評価されることと、給料が上がることは別でした。
ということです。
仕事を頑張ることはもちろん大切です。
ただ、給与を決めるのは所属企業です。
そのため私は、経験を積むだけでなく「現在の経験が転職市場ではどう評価されるのか」も確認するようになりました。
結果として別のSES企業へ転職し、現在は年収422万円を見込んでいます。
年収改善のために取り組んだ内容は、SES年収アップ術でも詳しくまとめています。
②やりたい仕事をすぐ経験できるとは限らない
私はJavaを使った開発経験を積むことを目的に、未経験からSESへ転職しました。
しかし、入社直後から開発案件へ参画したわけではありません。
最初は約3ヶ月のJava研修。
その後も約3ヶ月のサブ講師養成研修を受け、さらに約3ヶ月はJava研修のサブ講師を担当しています。
実際のWebシステム開発を経験するまでには時間がかかりました。
研修やサブ講師の経験が無駄だったとは思っていません。
基礎を学び、人に説明する経験をしたことは、その後の仕事にも役立っています。
一方、私が転職時に求めていた「開発の実務経験」という意味では、すぐに希望通りの仕事ができたわけではありません。
SESへ転職しただけで、希望する技術や工程を経験できるとは限らない。
これは実際に働いて感じたデメリットです。
③案件が変わるたびに環境へ適応する必要がある
SESでは案件が変わると、仕事をする環境も変わる場合があります。
私自身も案件が変わることで、
- チームメンバー
- 開発ルール
- 使用するツール
- 使用技術
- 業務知識
- 仕事の進め方
などを覚え直してきました。
新しい経験が増える点ではメリットですが、環境が変わるたびにキャッチアップが必要です。
個人的には、
転職していないのに、また新しい会社へ入ったような感覚になる。
と感じることがあります。
知らないシステムの仕様を確認し、新しいチームの進め方を理解して、分からない部分を質問する。
慣れるまでは意外とエネルギーを使います。
1つの環境で長期間じっくり働きたい人にとっては、負担に感じる可能性があります。
④案件終了後の待機は精神的に不安だった
もう1つ、実際に経験して初めて分かったのが待機期間の不安です。
私は担当していた案件が終了し、次の案件へ参画するまで待機した経験があります。
具体的な案件名や時期は伏せますが、案件終了が決まったときには、
「次の案件はちゃんと決まるのか」「次も希望する経験を積める仕事なのか」「どんな環境で働くことになるのか」
といった不安がありました。
会社との雇用関係は続いていても、次の仕事内容が決まっていない状態は落ち着きません。
待機中は何もしないのではなく、資格学習や次の業務で必要になりそうな技術の勉強を進めました。
結果的には次の仕事につながりましたが、案件終了は自分だけではコントロールできない部分があると実感した出来事です。
転職先としてSES企業を見る場合は、給与や案件内容だけでなく、
- 待機が発生した場合の給与
- 待機中の勤務方法
- 案件の探し方
- 希望条件をどこまで伝えられるか
なども確認しておくと安心でしょう。
低年収SESから抜け出すために意識している3つのこと

私は未経験転職後、年収約240万円まで下がった経験があります。
そこから収入とキャリアを改善するため、現在は「現場で働くだけ」で終わらないことを意識しています。
具体的に取り組んでいるのは次の3つです。
①案件ごとに「次に説明できる経験」を残す
1つ目は、担当した仕事を定期的に整理することです。
以前は「Javaを使った」「テストを担当した」といった程度しか整理していませんでした。
現在は、
- どの工程を担当したか
- どんな機能に関わったか
- 何を調査したか
- どんな問題が発生したか
- どのように解決したか
- チームにどう貢献したか
まで振り返るようにしています。
案件が終わってから何年分も思い出そうとしても、細かな内容は忘れてしまいます。
そのため、担当業務が変わったタイミングなどでスキルシートを更新しています。
重要なのは、「何を使ったか」だけでなく「何をできるようになったか」を残すことだと考えています。
②案件だけにスキルアップを任せない
2つ目は、案件だけに自分の成長を任せないことです。
SESでは、自分の希望だけで使用技術や担当工程を決められないことがあります。
そこで私は、仕事以外でも、
- AWS SAAの資格学習
- Java・Springを使った個人開発
- TypeScriptの学習
- 新しい技術のキャッチアップ
などを続けています。
特に個人開発では、仕事で担当できない部分を自分で考えて実装できます。
実務だけでは足りないと感じて個人開発を始めた経緯は、【個人開発】低年収エンジニアの挑戦でも紹介しています。
また、現在はキャリアの選択肢を増やす目的でAWS SAAも勉強しています。
詳しい学習理由は【AWS SAA】勉強を始めた4つの理由と学習計画にまとめました。
案件で経験できないなら、自分でも補う。
SESで働き続けるうえで、今後も意識したいことの1つです。
③仕事内容と年収の両方を見る
3つ目は、仕事内容と年収のどちらか一方だけで判断しないことです。
未経験転職したときの私は、年収より経験を優先しました。
その結果、Javaを使ったWebシステム開発などを経験できましたが、年収は大きく下がっています。
反対に、給料だけを見て仕事を選び、今後につながる経験を積めなくなれば、長期的なキャリアで悩む可能性もあります。
そのため、現在は、
収入を上げることと次のキャリアにつながる経験を積むこと
の両方を見るようにしています。
転職を考えていない時期でも求人を見ると、自分の経験で応募できる仕事や不足しているスキルを確認できます。
私は実際に転職サービスを使って市場価値を確認しています。
詳しくは【体験談】転職サイトGreenを使った感想で紹介しています。
SESに向いている人・向いていない人
ここまでの経験から、SESには合う人と合わない人がいると感じています。
もちろん、これはSES企業2社で働いた私個人の考えです。
SESが向いていると感じる人
私がSESに向いていると感じるのは、次のような人です。
- 複数のシステムや現場を経験したい
- 新しい環境への適応が苦にならない
- 実務経験を次のキャリアにつなげたい
- 分からないことを自分から調べられる
- 案件外でも継続して学習できる
特に、未経験から実務経験を積みたい人にとっては、自分の希望と合う案件を持つ会社かどうかを確認することが重要です。
「SES企業だから」という理由だけで判断せず、実際の仕事内容を見る必要があります。
SESが向いていないと感じる人
反対に、次のような人はSESの働き方が負担になるかもしれません。
- 1つのサービスを長期間育てたい
- 働く環境を頻繁に変えたくない
- 使用する技術や担当工程を自分で細かく選びたい
- 新しいチームへ入ることに強いストレスを感じる
- 所属企業と実際に働く現場が異なる環境が合わない
特に「自社サービスを長期間改善したい」という人の場合、自社開発企業など別の働き方も比較した方がよいでしょう。
重要なのは「SESが良いか悪いか」ではありません。
自分がどのようなエンジニアになりたいのかを決め、その目的に合った環境を選ぶことだと思います。
まとめ|SESは「やめとけ」ではなく活用方法が重要
今回は、SES企業2社で働いた私が実際に感じたメリット・デメリットを紹介しました。
SESで感じたメリット
- 開発だけでなく複数の工程を経験できた
- 案件によって異なる技術や業務を経験できた
- 未経験からWebシステム開発の実務経験を積めた
SESで感じたデメリット
- 経験を積んでも給料に直結するとは限らない
- やりたい仕事をすぐ経験できるとは限らない
- 案件が変わるたびに環境へ適応する必要がある
- 案件終了後の待機は精神的に不安だった
私自身、未経験からSESへ転職したことで年収は大きく下がりました。
しかも、最初から開発案件へ入れたわけではありません。
それでも研修、サブ講師、Webシステム開発、保守・運用と経験を積み、別のSES企業への転職後は年収約422万円を見込めるところまで改善しました。
振り返ると、私にとって最初のSES企業は、未経験からWebシステム開発の実務経験を作り、その経験を次のキャリアへつなげるための入口になりました。
そのため、私は「SES=やめとけ」とは考えていません。
一方で、SESで働いていれば自然に希望するスキルが身につき、年収も上がっていくとも思っていません。
私は「SESで働くこと」自体をゴールにはしていません。
案件で何を経験し、それを次の仕事や年収、働き方の改善にどうつなげるか。
今後もそこを意識しながら、エンジニアとしてのキャリアを作っていくつもりです。
年収を改善するために実践したことは、SES年収アップ術で詳しく紹介しています。
また、転職を考えている方は【実体験】ITエンジニア転職エージェントおすすめ5選も参考にしてください。